
投資をする時には、何か1つだけに絞って投資をするのではなく、複数のものを組み合わせてポートフォリオを組んだり、予めポートフォリオが組まれた投資信託などに投資することが多いと思います。
そのようなポートフォリオについて、リスクに見合うリターンが得られたかどうかを、『ポートフォリオのパフォーマンス評価尺度』を用いて判断することができます。
評価尺度には、
- シャープレシオ
- トレイナーレシオ
- ジェンセンのアルファ
- インフォメーションレシオ
があります。今回はこの評価尺度について一つずつご説明します。
※当ブログは投資を勧めるものではなく、あくまで一般的な事項を説明をするためのものです。
シャープレシオ
シャープレシオとは、リターンから無リスク資産利子率を引いた値(超過収益率という)を標準偏差で除したものです。これは、リスクを1単位とることに対してどれだけの超過リターンを得ているかによって、パフォーマンスを評価する尺度です。
シャープレシオ=(ポートフォリオ―無リスク資産利子率)/ポートフォリオの標準偏差
【特徴】
- 数値が大きいほど優れたパフォーマンスであったと評価されます。
- また、株式ポートフォリオと債券ポートフォリオなど、異なる市場間のパフォーマンスを比較することも可能です。
トレイナーレシオ
トレイナーレシオとは、リターンから無リスク資産利子率を引いた値をβで除したものです。
ここで、βとは、市場全体が1%動いたときに、その証券が何%変動するかを表した数値。市場全体のリスクに対する感応度のことです。
- β=個別資産と市場の共分散/市場の分散
ここで、個別資産と市場の共分散とは、「個別資産 の偏差× 市場の偏差」の平均のことです。
市場の分散とは(市場の偏差)の2乗の平均 のことです。
トレイナーレシオ=(ポートフォリオのリターン―無リスク資産利子率)/ポートフォリオのβ
【特徴】
- 数値が大きいほど優れたパフォーマンスであったと評価されます。
- 市場リスクの尺度であるβをリスク指標としているため、株式ポートフォリオと債券ポートフォリオなどのように、異なる市場間のパフォーマンスを比較することには向いていません。
ジェンセンのアルファ
資本資産評価モデルにおけるジェンセンのアルファ(α)は、ポートフォリオのリターンから資本資産評価モデルにおけるリターンを差し引いた値です。
図で言えばそれぞれA、Bのポートフォリオの期待収益率(μ)から、同一β上(点線)と市場ポートフォリオ(青線)の交点の期待収益率(μ)の差に当たります。
ジェンセンのアルファ=ポートフォリオのリターン―資本資産評価モデルによる期待収益

図 ポートフォリオA,Bと市場ポートフォリオ
【特徴】
- ジェンセンのアルファがプラスであれば、市場ポートフォリオよりも優れた運用であったことを意味する
- ジェンセンのアルファがマイナスであれば、市場ポートフォリオよりも劣った運用であったことを意味する
インフォメーションレシオ
インフォメーションレシオは、ポートフォリオの収益率からベンチマークの収益率を引いた値(超過収益率)をトラッキングエラーで除したものです。
ベンチマークは、主にTOPIXなどの市場ポートフォリオが使われます。
トラッキングエラーは、ベンチマークのリスクとポートフォリオのリスクがどれだけかけ離れているか(乖離しているか)を数値化したものです。
インフォメーションレシオ=ポートフォリオのリターン―ベンチマークのリターン/トラッキングエラー
【特徴】
- 数値が大きいほど優れたパフォーマンスであったと評価されます。
- アクティブ運用の投資信託を、ベンチマーク(インデックス運用)と比較する場合に用いられます。
まとめ

今回は、ポートフォリオについて、リスクに見合うリターンが得られたかどうかを評価する下記4つの『ポートフォリオのパフォーマンス評価』についてご説明しました。
- シャープレシオ
- トレイナーレシオ
- ジェンセンのアルファ
- インフォメーションレシオ
ご自身のポートフォリオについて、良いポートフォリオが組めているのかどうかを考えるときに、是非ご参考にして頂ければと思います。