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不動産をお得に投資するためのDCF法とは?


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DCF法は、ディスカウンティド・キャッシュフロー・アナリシス(Discounted Cash Flow Analysis)の略です。

 

不動産投資においては、評価の対象となる不動産から評価の対象となる家賃などのキャッシュフローを現在の価値に割り引いた額を算出し、その合計を不動産の評価額にするというものです。

 

米国の不動産業界では収益不動産の価値を分析する場合、一般的に利用されている方法であり、日本でも普及しつつあります。

  • DCF法とは何か?
  • 具体的にどのように計算するのか?
  • DCF法を使ったシミュレーションの例

をご説明いたします。

割引率をどのように決めるのか?


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将来のキャッシュフローを現在の価値に割り引いて求める考え方は、現在手元にある100万円は将来入金される予定の100万円よりも価値があることを意味しています。

 

2020年現在では、銀行に定期預金で預けても。年利0.1%の程度の金利が付くだけなので、あまり将来と現在の差を感じないかもしれません。

 

その場合は、同じくらいのリスクがある投資信託や株の配当利回りなどを比較対象として評価するのが良いでしょう。

 

不動産を購入するために借入金と自己資金を使用する場合、借入金に対しては、金利分の収益が必要であり、自己資金には期待利回りを乗じて借入金と自己資金の持分割合に応じて加重平均して求めます。

実際にDCF法を使った投資を計算してみましょう


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例えば、実質利回り4%で、価格が1500万円の物件が売り出されているとします。

 

ここで実質利回りとは、不動産経営にかかる、税金、管理費・修繕費、仲介手数料などのランニングコストを加味した利回りのことです。

 

この物件を自己資金を100万円、借入金を金利2%で1400万円で購入し、10年保持した後に1300万円で売却する場合を例に計算します。

 

この投資が果たしてお得な投資なのか、いっしょにDCF法を用いて計算してみましょう。

まずは割引率を計算しましょう


表 不動産投資の条件

物件価格 1500万円
実質利回り 4%
自己資金 100万円
 期待利回  5%
借入金 1400万円
借入金の金利 2%
割引率 2.2%

まず、割引率を計算します。

 

借入金と自己資金を使用する場合、借入金に対しては、金利分を、自己資金には期待利回りを乗じて借入金と自己資金の持分割合に応じて加重平均するんでしたね。

 

自己資金の期待利回りを5%と仮定すると、割引率は

 

5%×(100万円/(100万円+1400万円))+2%×(1400万円/(100万円+1400万円))

=2.2%

 

と求められます。


DFC法でこの不動産の価値を計算しましょう


この不動産の年間の収益は1500万円×4%=60万円となります。

ただし、この収益は不動産を購入して将来得られるものなので、割引率を差し引く必要がありますね。

 

1年目は60万円の収益にたいして、2.2%を差し引くので、DCF法を加味した価値は

 

60万円×(100%-2.2%)≒58.7万円

 

と求めることができます。

 

なお、DCF法を加味した価値のことを「現在価値」と呼びます。現在の価値に直した価格、という意味ですね。

2年目は1年目の2.2%から更に2.2%を差し引くので、現在価値は

 

60万円×(100%-2.2%)×(100%-2.2%)≒57.4万円

 

と求めることができます。

 

ここで、青字部分のことを複利原価率と呼びます。

 

10年後の複利原価率は80%なので、売却金額を現在価値に直すと、

 

1300万円×80%≒1040.7万円

 

となります。

 

最終的にこの不動産で得られる収益からDCF法で産出されるこの不動産の価値は1572万円程度と計算されます。

 

価格が1500万円だったので、DCF法で考えると72万円程度お得な投資ができると言えますね。

表 DFC法による現在価値の計算

  収益 複利原価率 現在価値
1年目 600000円 98% 586800円
2年目 600000円 96% 573890円
3年目 600000円 94%

561265円

4年目 600000円 91%

548917円

5年目 600000円 89% 536841円
6年目 600000円 88% 525030円
7年目 600000円 86% 513480円
8年目 600000円 84% 502183円
9年目 600000円 82% 491135円
10年目 600000円 80% 480330円
売却 13000000円 80% 10407152円
       
合計     15727023円

まとめ


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いかがでしたか?

 

今回は

  • DCF法とは何か?
  • 具体的にどのように計算するのか?
  • DCF法を使ったシミュレーション

を学びました。

 

ちょっと難しかったかもしれませんが、数字を使って計算してみると、なんとなく感じがつかめるかと思います。

 

これまで、今と未来ではお金の価値が違う、という概念はなかなか考えることはなかったかと思います。

 

しかし投資は将来にお金を得るための手段なので、避けては通れない概念かと思います。

 

DCF法は不動産だけに使われるものでもないので、ぜひ投資をしたい方は理解しておくとよいでしょう。