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MMT(現代貨幣理論)について、5分で分かりやすく説明します!


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MMT(Modern Monetary Theory:現代貨幣理論)という言葉を聞いたことがありますか?

 

あなたも、昨年からたまにニュースや新聞で紹介されているのを見たり聞いたりしたことがあるかもしれません。

しかし、これは経済学における、1つの新しい理論であるために、なかなか経済学について馴染みの無い方には難しく感じられるかもしれません。

 

そこで、予備知識なしでもMMTについて理解できるよう、分かり易く、かつ手短にご説明させて頂きます。

  • MMTって何?
  • MMTの何がすごいの?
  • MMTが私たちにどう関係するのか知りたい!

という方は是非、この記事を読んでください。

MMTを知ることで、あなたの価値感や、あなたの未来が変わるかもしれません。

MMTが唱える3つの主張とは?


MMTの主張を整理すると、大きく分けて以下の3つになります。

 

① 政府の支出=民間の収入

② 自国通貨建ての国債は破綻しない

③ インフレ率が国債発行の限界になる

 

いきなり難しい言葉が並んでしまいましたが、この3つの主張について、1つずつ分かり易くご説明いたします。

① 政府の支出=民間の収入


政府の仕事の一つに予算を作ることがあります。

 

この予算によって、具体的には、道路や橋をつくる公共事業や、学校や病院の運営、健康保険や年金の維持などがされています。

この予算には、財源として主に、皆さんが支払っている税金と、政府が発行する国債によって賄われています。

 

ところが近年は、国債を発行するのは良くないことであるとして、税金だけで予算が組めるように、予算がどんどん小さくされてきました。

 

これが、本当に良いことなのでしょうか?

実は、MMTはそうではないと主張しています。

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私たちは働くことによって、お給料などの収入を得て、そのお金を生活に使っていますね。

 

では、お給料などのお金どこから来たかというと、誰かがあなたの作った製品やサービスを購入することによって生まれたお金になります。

そして、あなたが、生活のために使ったお金は、また誰かのお給料などのお金に変わっていきます。

 

 

お金は使うと無くなってしまうイメージがありますが、このように、そのお金の持ち主が変わるだけで、使っても無くなることはありません。誰かから誰かへと、流れるようにお金は移動しています。

 

しかし、もしだれかが、お金を使うことを辞めてしまうと、この流れが淀んでしまいます。

 

使うのを辞めてしまった分、その次のだれかの収入が減ってしまいます。収入が減ってしまうと、その人は使えるお金が減ってしまうために、使うお金が減ってしまいます。

 

すると、その次の人の収入が減って、その人が使うお金も減ってしまいます。

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このように、全体で使うお金が減ることで、全体の収入も減ってしまうことを、一般的に不景気や不況と言います。

 

逆に、もし誰かがこれまでよりもたくさんお金が使った場合、その次のだれかの収入が増えます。すると、その人は使えるお金が増えるのでに、使うお金も増えるでしょう。

すると、その次の人の収入も増えて、その人が使うお金も増えていきます。

 

このように、全体で使うお金が増えることで、全体の収入も増えることを、一般的好景気と言います。

 

このお金の流れの中に、政府も参加しています。

 

もし、政府がたくさんお金を使ってくれたら、学校や病院で働く人や、道路や橋を作る人、健康保険や年金を受ける人の収入が増えることになります。すると、彼らもたくさんお金を使えるようになるので、巡り巡って私たちの収入も増え、豊かな生活を送ることができます。

 

しかし、政府があまりお金を使ってくれなくなったら。学校や病院で働く人や、道路や橋を作る人、健康保険や年金を受ける人の収入が減ることになります。すると、彼らもお金をあまり使えなくなるので、巡り巡って私たちの収入も減り、より貧しい生活を送ることになってしまいます。

 

このように、政府がたくさんお金をつかう、すなわち支出が大きくなることは、巡り巡ってその分我々(民間)の収入が大きくなる、ということです。

 

これが、MMTの1つ目の主張

「政府の支出=民間の収入」

 です。

② 自国通貨建ての国債は破綻しない


さて、ここまで読んだあなたは、「政府が支出をたくさん増やしたら、やがて破産してしまうのではないか?」と心配に思われたかと思います。

 

予算の赤字分を埋めるために、政府は国債を発行しています。

国債を主に民間銀行や保険会社などの金融機関に買ってもらうことで、そのお金を予算に充てています。

すると、なんだかいつかは金融機関が国債を買ってくれなくなってしまうようなイメージを持つかもしれません。

 

しかし、そんなことは起きません。

 

なぜなら、金融機関のもつ国債を、日本銀行が買い取ることができるからです。

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ここで、日本銀行とはどのような銀行かご存じでしょうか?

日本銀行は日本で唯一の「発券銀行」です。

発券銀行とは、お金を発行することのできる銀行、ということです。

 

お金を発行することができるから、日本銀行はいつまでも国債を買い取り続けることができます。

したがって、金融機関が国債を買わなくなることは考えられません。

 

政府が国債をどれだけ発行したとしても、金融機関を経由して、日本銀行がどれだけでも買い取ることができるがために、この国債とお金の流れが途絶えることは無いのです。

 

ただし、この国債を、もし外国に買ってもらって、外国のお金で返済をしようとした場合、この流れは途絶えてしまいます。なぜならば、日本銀行が発行できるのでは「円」だけであり、「ドル」や「ユーロ」を発行することができないためです。

 

以上から、MMTは『自国通貨建て』であることを条件に、国債は破綻しないと主張しています。

③ インフレ率が国債発行の限界になる


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政府は国債をどれだけでも発行し、予算に充てることができることがお分かりいただけたかと思います。

 

しかし、MMTは実際には国債発行には限度があることも主張しています。

 

あまりにたくさんの国債を一度に発行し、予算を大きくしてしまった場合、私たちの収入も大きく跳ね上がることになります。

 

ここまでは良いのですが、収入に見合った支出をしようとしても、急に製品やサービスを増やすことができません。したがって、製品やサービスの値段が上がっていきます。

このような物価の上昇をインフレーション(インフレ)を言います。

 

今年はマスクの値段が急激に上がった時期がありましたよね?

あのように、生産が追い付かないくらいモノが買われてしまうと、物価が上昇することになります。

 

もちろん、製品やサービスが追いつけるくらい、ゆるやかに物価が上昇するのは問題ないのですが、1年に何十倍や、何百倍も物価が一気に上昇してしまうと、私たちが持っているお金の価値が急激に下がってしまいます。これは、非常に困りますよね?

 

このように大きな混乱が起きない範囲であれば、政府は国債をどれだけでも発行しても良い、というのがMMTの主張になります。

MMTが教えてくれる私たちの未来


いかがでしたか?

 

今回ご説明させて頂いた、MMTの主張を今の日本の状況に当てはめてみると、このような結論になります。

 

①    政府の支出=民間の収入

⇒これまで、政府の赤字(予算)を減らしたことで、私たちの収入が減っていた。

⇒私たちの収入を増やし、景気をよくするためには予算を増やしたほうがいい。

 

②    自国通貨建ての国債は破綻しない

⇒予算を増やすために発行している国債は、すべて日本円建てである。したがって、破綻することもないため、国債の破綻を心配する必要がない。

 

③    インフレ率が国債発行の限界になる

 

⇒今のインフレ率は非常に低い。したがって、インフレ率にはまだまだ余裕があり、今のところ予算を増やすことに懸念はない。

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実際に、2020年度はこれまでと比較して、コロナ対策として、政府は大きく予算を増やしました。しかし、インフレ率は殆ど変わりません。国債の価格も暴落することなく、破綻の兆しは全くありません。

図らずもMMTの正しさを証明するような状況となっています。

 

MMTに対しては、これまでの経済理論と相反する部分があるために、賛否や評価が分かれております。

これまで必死に節約をしていた人(政府)に、明日からたくさんお金を使っていいよ、と言っても、なかなかすんなりと受け入れづらいのも確かです。

 

しかし、MMTは、これまで私たちが苦しんでいた不況の原因を説明し、今後、私たちの暮らしをよくするためにはどうすれば良いか、明確な結論を与えてくれています。

 

私たちの暮らしを変えるには、私たちの考え方から変える必要があります。

是非、この記事を読んで、このMMTを理解する人が増え、日本が豊かになることを願ってやみません。