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CDSとは?リーマンショック・ドイツ銀行問題の裏側をわかりやすく解説


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今回はクレジット・デフォルト・スワップ(Credit default swap:CDS)についてご説明します。

 リーマンショックや、ドイツ銀行の問題を理解するためには必ずCDSを理解する必要があります。

 

普段聞き馴染みのない言葉で、分かり辛い取引なので、図や例を使って分かり易く解説します。

  • ドイツ銀行問題って?
  • クレジットデフォルトスワップって何?

という方は是非この記事を読んでください。

 

クレジット・デフォルト・スワップとは何か?


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CDSは一言でいうと「倒産保険」、つまり保険の一種です。

 

まず、保険について簡単に説明します。

皆さんが加入する生命保険は、もしもの時に必要なお金をもらうために、毎月保険料を払うものです。

このようになんらか可能性の低い事象が起きてしまった際に、お金の保証をしてもらうものを保険といいます。

 

CDSは、とある会社が倒産していまったときに、保険料をかけていた人にお金が支払われるというものです

 

難しそうな名前ですが、仕組みはとても単純ですね。

一般的には会社が倒産してしまった時に困る別の会社などのがこの保険を使います。

クレジット・デフォルト・スワップが生まれた理由


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実際にどのようなケースでCDSが使われるのかを説明します。

 

例えば、銀行Aは会社Vに100億円を貸しているとします。

 

もし会社Cが倒産してしまったら、返ってこなくなり銀行Aは泣き寝入りをするしかなくなってしまいます。

銀行Aにとって「お金を貸したいけど、リスクを負いたくないな」と考えた結果、1995年にCDSが作られました。

 

銀行Aが銀行Bに保険料を払う代わりに、会社Cが倒産したら、銀行Aが損した分を銀行Bが補填するという契約をする、これがCDS取引です。

 

銀行Aは、お金を貸した会社が倒産してもそのリスクを違う銀行Bに押し付けることができる。

ちなみにCDS取引は銀行に限った話ではありませんが、主に銀行が行っています。

 

形態としては保険なので、CDS取引はいわゆる「オプション取引」の1つですね。

ただし、保険料をやり取りするときの形態が、スワップ取引の形態を利用しているので、スワップ取引の仲間に入ってます。

リーマンショックによってAIGがピンチに!


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次に、CDSに関してどんな出来事があったか、を見ていきましょう。

 

2008年9月、大手投資会社リーマンブラザーズが破綻し、そのCDSを大量に持っていた保険会社大手のAIGが倒産寸前まで陥ってしまいました。

 

AIGを倒産させないために米国政府がAIG救済しました。

 

なぜ、こうなったかというと、リーマンブラザーズと全く関係の無い機関投資家が、リーマンブラザーズが、倒産すると考え、倒産したときにもらえるお金を目当てに、AIGに対してリーマンブラザーズのCDS契約をしたのです。

 

リーマンショック後、どうなったか?


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CDS取引をする際の保険料が高すぎたら、銀行Aは儲からないので、会社Cからもらえる利息よりも必ず保険料は小さい金額になるはずです。

 

たとえば、会社Cからもらえる利息が5億円だったら、保険料は3億円とかじゃないと銀行Aは儲からないですね。

 

この時、銀行Aは差額の3億円を設けることができます。

銀行Bは手元にお金がなくても、毎年3億の利益が得られますね。会社Cもお金を借りることができてうれしいですね。

 

なので、リーマンショック以降も、金融業界で活発にCDS取引がされてきました。

 

しかし、CDS取引が多くなりすぎて、大企業が倒産するとCDS取引があちこちで炸裂し、「企業や銀行が連鎖倒産するのではないか?」という懸念が広がっています。

ドイツ銀行問題


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その中心がたまに耳にする「ドイツ銀行」という銀行です。ちなみに、この銀行は日本銀行のような中央銀行ではなく、民間の銀行です。

 

ドイツ銀行はCDS取引のリスクをたくさん引き受けているようです。つまり、先程の例におけるB銀行のポジションですね。

 

CDS取引を含めてデリバティブ取引を総額5500兆円くらい抱えていると言われています。

なので、どこか一つの企業が倒産し、ドイツ銀行がこれらの補填として、お金を払わなくてはならなくなった場合、連鎖的にCDS取引の支払いが発生し、ドイツ銀行が破産してしまうかもしれません。

 

加えて、ドイツ銀行が倒産する方向にお金をかけている銀行もあるので、そのCDSを引き受けている銀行も倒産してしまう恐れがあります。

 

このように取引が様々な銀行や企業間で、スパゲッティ状に絡まっているために、一つの企業の倒産が連鎖倒産を引き起こすかもしれないと言われています。

ドイツ銀行はこれからどうなるのか?


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ドイツ銀行は、最近大規模なリストラをして、経営を再建するという発表をしました。

また、問題になっていたデリバティブの金額を減らしていく方向のようです。

 

実は、ドイツ銀行は反対方向の契約もしており、実際は、CDSの対象となる会社が倒産したときに、支払わなくてはならないお金もある一方で、もらえるお金もあるようです。

 

デリバティブ取引のトータルは5500兆円ですが、この中には倒産したときにもらえるプラスのお金と出ていくマイナスのお金があり、相殺されて210億ユーロ、日本円で2兆5千億くらいマイナスとのことです。

 

このお金が大きいか小さいかでいうと、ドイツ銀行の総資産は120兆円、預金も60兆円くらいありますので、この金額と比べると、実は、CDSによって損失するお金は小さい額とも言えます。

 

ということはドイツ銀行の問題は、CDSによる問題ではなく、最近赤字が続いてしまっているということのほうが問題のようです。

とはいえ、契約が複雑化しているので、何が起きるかは分からないというのも間違いではありません。

まとめ


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今回はCSDについて、例などを用いてご説明いたしました。

 

リーマンショックや、ドイツ銀行の問題など、CDSを理解していると、より何が起こっているのかが理解しやすいと思います。

 

直接、私たちの暮らしに対して影響することはあまりありませんが、経済に関することなので、間接的には私たちにも影響があるかもしれません。

 

是非、これを機会に金融について学ぶきっかけにして頂けたら嬉しいです。